九州磯釣連盟規約



磯釣海難防止の心得 

1.出漁に際して


1)出漁に際し、家族や所属会に、現地では漁協等に対し、行動計画を確実に連絡しておくこと。
   家族や所属釣りクラブに対しては「いつ」「だれと」「どのような装備で」「どこに」行き、
   「現地の連絡先はどこ」であり、「いつ」帰る等の計画を詳細に通知しておき、予定変更の場
   合はその旨速報することとし、現地では、漁業組合、瀬渡し業者、最寄り海上保安部署、警察
   署等に、「住所」「氏名び「いつから」「いつまで」「どこの釣り場に」「どのような方法で」
   渡り、「いつ」帰る旨をて、不測の事態発生に備えること。

2)単独出漁は避け、初心者はベテラン指導のもとに行動すること。
   単独行動中、万一事故に遭遇した場合、他に救助を求めることはもちろん、現場において救助
   を受けることも期待できないから必ず2人以上で出漁する必要性がある。豊富な知識と経験を
   有するベテランから意見を聞くことは釣り果向上の道であるばかりでなく、海難要諦でもある
   から、初心者は指導を受けることが望ましい。

3)常に新しい気象情報の入手に努め、少なくとも出漁前のラジオ放送を聴取すること。天気の
  悪いとき、悪化のきざしがあるときは出漁しないこと。

   新聞、テレビ、ラジオで報道される天気図及び予報を参考とし、できれば気象台、測候所に目
   的地、行動予定を告げて、意見を聞くほどの慎重さが望ましく、天候悪化の恐れがあるときは
   思い切って出漁を取り止めるべきである。過去における磯釣りの海難は気象に関する注意が足
   りなかった事例が大半である。

4)視界不良の暗夜や、濃霧のときは出漁しないこと。
   暗夜や濃霧のときは、目標、距離を見誤りやすいから出漁を見合わせる必要がある。とくに瀬
   上がり時は危険で、未明の瀬上がりに失敗し、海中に転落、事故死した例もあり、厳重な注意
   を要する。

5)釣り場付近の海象を事前によく調べておくこと。
   一般に潮時を調べることは忘れないが、干満の差、潮高、磯波の特殊性等については事前調査
   を怠ることが多い。竿を入れた直後、大波にさらわれ行方不明となった例があるが、当時、現
   場は風陰になっており凪いでいたが、小さな入り江になっていたため、小規模な高潮現象が起
   こったものである。


2.必携品


 海難防止上、少なくとも次の各物品は必ず携帯すること。
  (1)救命胴衣(運輸省検定合格品)
  (2)救命用ロープ(100s破断以上の強度を持つロープ30m以上)
  (3)ハンマー及びハーケン
  (4)呼子笛
  (5)橙黄色旗
  (6)懐中電灯
  (7)救急医薬品
  (8)携帯食料(非常用)
  (9)清水(非常用)
  (10)防寒具、雨具
  (11)マッチ、ライター


3.釣り場において


1)漁業組合職員や瀬渡し業者の局地気象に関する予報や忠告を尊重すること
   漁業組合職員や瀬渡し業者は、永年の経験から、その地方特有の気象にくわしく、観天望気
   (雲や色々の光象を見て、天気を予想すること)による短時間の気象予報は傾聴に値するの
   で、その他の釣り場における注意事項とともに、十分尊重しなければならない。過去幾多の
   悲惨な犠牲者は、すべてこれらの忠告を無視し、独断で強行出漁したものが多い。

2)釣り果より安全性を優先し、できるだけ干出岩や時化の際波に洗われる岩礁に瀬上がりしな
  いこと。

   年令、体力、健康状態、装備に応じ、安全な釣り場を選定し、気象の急変による危険な場所を
   避け、釣り場では事前に安全な避難場所、方法、万一海中に転落した場合の上陸地点を調査の
   上、できれば救命索を垂らしておく等の慎重さがほしい。岩礁で磯釣り中、背後からの大波に
   さらわれ行方不明になった実例がいくつもある。

3)瀬渡し船は、船舶安全法、船舶職員法にもとづく資格を有するものを利用すること。
   瀬渡し船は小型のものでもすべて、陸上交通機関同様、設備や操船者について、法律に定める
   一定の資格を必要とする。これに違反する瀬渡し船は最小限の安全性も保障されていないと考
   え、利用しないこと。また、違反船の船長が法の裁きを受けることはもちろん、利用者である
   釣り人も参考人として取り調べを受けることもある。

4)瀬渡し船で岬や岩礁に上がる場合は必ず可視範囲内に待機させておくこと。
   瀬上がりの際、帰り時刻のみを打合して船を帰したのち、予定時刻までに気象、海象が急変し
   たため退避の時期を失い、釣り場に孤立して生命の危機にさらされ、あるいは生命を落とした
   事例は多い。安全な避難場所があり、かつ天候回復を待つに足る装備、食料、清水を携行して
   いる場合は別として緊急事態発生時、直ちに乗船可能な可視範囲内に常時待機させておくこと
   は磯釣りの鉄則である。

5)瀬渡し船に乗船の際は、必ず救命胴衣を着装すること。
   瀬渡し船に乗船し、あるいは瀬上がりする場合、タイミングが僅かでも狂えば海中転落の危険
   が大きく、その体験をもつ釣り人は多い。又、過去の犠牲者も救命胴衣を着装しておれば、助
   かったと思われるケースが多い。

6)いかなる場合でも釣り場では救命胴衣を装着のまま竿を入れること。
   釣り場では救命ロープおよびその他の用具を身近におき、いつでも使用できるようにしておく
   こは当然である。救命胴衣は出港より帰港までの常時着装のまま行動し、自らの生命を守る心
   構えが必要である。

7)釣り場において、気象、海象、悪化のきざしが見えたときは、直ちに安全な場所へ退避する
  こと

   常に雲や風浪の状態に注意し、少しでも悪くなりそうな気配が見えたら、釣りに未練なく、思
   い切って予定の避難場所に退避し、あるいは待機させている瀬渡し船に乗船して早期に避難し
   なければならない。とくに冬季から春先にかけての突風は予報もむつかしく、瞬時に来襲する
   から、細心の注意が必要である。

8)突風のあらわれ方
 (1)雷のとき見られるような雲が西寄りの水平線上に現れたら数時間以内に突風が吹くことが多い。
 (2)夜、西方に稲光が見えたら、数時間内に突風が吹くことが多い。 
 (3)突風の前にはしゅう雨性の雨が降る。
 (4)ベタ凪の日に、西の水平線にデコボコが見えたら間もなく突風が吹き出す。
 (5)朝、虹が西空に見えたら間もなく突風がくる。
 (6)風向きが北にまわり、急ににわか雪がちらちらしだしたら突風がくることが多い。
 (7)黒潮より東海面で南東の風が吹き始めたら、強い突風が吹くことが多い。

9)磯すべりを防止するため足ごしらえは厳重にすること。
   滑りやすい岩場をゴム長のまま飛び廻る無謀は絶対に避け、すべり止めのついた靴や足袋をは
   くか、応急の場合は縄を巻くとか、足ごしらえは厳重にしなければならない。足が滑ったため
   海中に転落した例は多く、波にのまれ行方不明となった釣り人もあり、救命胴衣の着装ととも
   に忘れてはならない事項である。


4.避難に際して


   磯釣りに関連する事故は、瀬渡し船等船舶自体の衝突、乗揚、転覆等の海難と釣り場での釣り
   人の事故に大別させる。船舶の海難に際しては、すべて船長の指揮に従って行動すること。
 (1)遭難者
    イ.遭難信号を発する。
      危険に陥ったとき、他に救助を求めるのは当然であるが、その方向は誰にでも通じるも
      のでなければならない。
     (イ)呼子笛、燈火により万国共通遭難信号
        SOS(・・・−−−・・・)を反復する。
     (ロ)橙黄色旗を竿につけ、左右に大きく振り続ける。
     (ハ)枯木、油布等を燃やし、のろしを上げる。
    ロ.沈着、冷静に行動する。
     (イ)救命胴衣使着用し、救命索を使用して、海中転落に備える。
     (ロ)防寒具、雨具を着用し、無駄な動きをやめて体温を保持し、体力の消耗を避ける。
     (ハ)孤独のもたらす精神的疲労は甚大で、救助活動にも支障をきたすから、団体行動を
        とる。
     (ニ)海中転落の場合、不用意に上陸を試みず、風波、潮流を利用しつつ救助を待つ。

 (2)遭難者の家族、漁協等
     イ.海上保安部、署への救助要請
       気象状況が悪化し、予定日時を過ぎても帰宅または連絡がない場合は、速やかに、海
       上における第一義的救助期間である海上保安部、署に連絡すると同時に、支部及び地
       区を通じて連盟本部へ即報する。情報の「早く」「詳しい」ことが救助の成否を大き
       く左右する。従って出漁前の連絡、打合わせが詳細、確実でなければならず、「いつ」
       「だれが」「だれと」「いかなる方法で」「いかなる装備をして」「どこ」に行き、
       帰る予定は「いつ」であるかを出漁前に届け出ておく必要がある。

     ロ.他機関に対する救助要請
       荒天のため岩礁上に孤立した場合等、波浪が大きく、瀬渡し船や巡視船艇が接岸でき
       ずあるいはゴムボートの派遣も困難で、ヘリコプターによる救助を必要とするときも
       ある。海上の事件については、保安部、署、分室やその通信施設、巡視船艇並びに燈
       台等が各々連絡を保ちつつ即応体制をとっており、最も良く状況を掌握できる立場に
       あり、他機関への連絡、要請手続についても迅速、確実に処理し得る体制を整えてい
       るから、まず海上保安庁の機関に申し出ること。

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